生成AIの次に来る「認知型AI」の衝撃 ── AIリテラシーラボ2025現地レポート

AIリテラシーラボ2025のメインビジュアル:認知型AIの時代へ AIマーケティング

2025年11月10日、東京・日本橋KABUTO ONEホールで開催された「AIリテラシーラボ2025」。
テーマは、「生成AIの次へ。人のように考える『認知型AI』とは?」
主催は Sqreem Technologies JapanTotallyAwesome Japan
当日は会場・オンライン合わせて多くのマーケターや経営者が集まり、
「AIはどこまで人間の“思考”に近づけるのか」という問いに耳を傾けました。


LLMが理解できない“4という数字”──言語と文脈の限界

最初のセッションでは、「LLM(大規模言語モデル)」の限界と可能性についての考察から始まりました。
登壇者はこう語ります。

「LLMは『恒常的文脈』は理解できるが、『動的文脈』は理解できない。」

たとえば、「緑茶とは?」という質問には、一般的な知識として正確に回答できる。
しかし「4とは?」と問われたとき、LLMは戸惑う。
「4」は数量であり、時間、温度、順位などさまざまな文脈に属する“動的な言葉”だからです。

「LLMは数値を理解するために作られたものではなく、文脈を理解するために作られた」

この一言が、生成AIの本質を言い表していました。
つまり、ChatGPTなどの生成AIは「人間の会話を模倣」することは得意でも、
「人間のように考える」ことはまだできていないのです。


Sqreemが挑む“行動で理解するAI”──認知型AIの誕生

次に紹介されたのが、Sqreem Technologies の中核技術、
行動認知(Behavioral Cognition) を実現する「状態空間モデル(SSM:State Space Model)」です。

このSSMは、膨大なデジタル行動データをリアルタイムに解析し、
言葉ではなく「行動パターン」から人間の意図を推定する仕組み。

「認知AIは、行動から“理解”する。言葉ではなく、動きで考えるAIです。」

このアプローチは、単なる統計分析ではなく、
“人間の思考過程を模倣する”という点で革新的です。


認知推論ロジック:不動産サイトと生命保険を結びつけるAIの思考

スクリーンには「認知推論ロジック」と題されたスライドが映し出されました。
そこには、不動産サイトの閲覧行動から生命保険への関心に至るまでの連鎖が可視化されていました。

「人は“言葉”ではなく“行動”で意図を示す。」

家探しをしているユーザーが、同時に家計アプリや健康食品サイトを訪問している──
その“つながり”の背景には、「生活の安定」「家族の将来への不安」などの心理が潜んでいる。
Sqreemの認知推論エンジンは、こうした“意味の見えない関係”を行動データから導き出します。

まるで人間の洞察力をアルゴリズム化したような仕組み。
これこそが生成AIではなく、「認知型AI」と呼ばれるゆえんです。


パネルディスカッション:「マーケティングにおけるAI活用のこれから」

後半は、「マーケティングにおけるAI活用のこれから」と題したパネルディスカッション。
登壇したのは、アタラ株式会社 創業者兼CEOの杉原剛氏ら、業界を代表するリーダーたち。

「いま、世界には数十万のLLM関連企業が存在します。
しかしLLMは『次の単語を予測する機械』であり、計算や推論が得意ではない。
だからこそ“推論ベース”のAIへの移行が進んでいる。」

生成AIブームの次に訪れる波――それが「認知推論型AI」なのです。


グローバルAIエージェンシーの潮流──Newton Researchの挑戦

ディスカッションの中では、アタラ株式会社の杉原氏が、
米Publicisグループ傘下の Newton Research が開発した「Newton」というAIエージェントを紹介。

このAIは、広告代理店やメディアプランナー、データサイエンティストの仕事を
統合的に支援するもので、まさにマーケティング特化型のAIエージェントです。

「中堅以上の知識と経験を持つストラテジストを一人で獲得するのと同等」

AIがマーケティング領域の“参謀”になる時代が、いよいよ現実味を帯びてきました。


世界で進む「エージェンティック広告」──Ad Context Protocol(AdCP)

さらに注目すべきトピックとして、
2025年10月に発表された Ad Context Protocol(AdCP) が紹介されました。

AIエージェント同士が自律的にキャンペーン設計・交渉・最適化を行う仕組み。
まさに「エージェンティック広告(Agentic Advertising)」の幕開けです。

「AI同士が取引し、最適化を繰り返す世界。
人間はその“判断理由”を理解し、最終決定を下す立場になる。」

マーケターの役割は、“手を動かす”ことから“AIを導く”ことへ。
認知型AIは、クリエイティブや戦略設計の方法そのものを再定義しようとしています。


「認知型AIとはなにか」──人間の知覚・学習・推論・意思決定を再現する

改めて問われたのが、「認知型AIとは何か」。
スクリーンに映し出されたキーワードは、知覚・学習・推論・意思決定

「認知AIは、人間の認知プロセスを模倣するAI。
データの“意味”を理解し、自らの判断を形成できる。」

LLMの“予測”に対して、“理解と推論”のAI。
人間のように考えるAIが、いよいよ現実のビジネスシーンに登場し始めているのです。


GoogleもAIエージェントを導入へ──広告とアナリティクスの融合

最後に紹介されたのは、Googleがまもなく実装するAIエージェント機能。
広告運用とアナリティクスが完全連動し、キャンペーンの問題発見から最適化までを自動実行するというもの。

「Google AdsもAnalyticsも、まもなく“会話で操作する時代”が来る。」

まるで“AIマーケター”が隣にいるような時代がすぐそこに来ているのを感じます。


クリエイティブとAIのこれから──人間の創造性は消えない

登壇者の一人は、クリエイターの心理をこう語りました。

「クリエイティブ業界ではAIを嫌う人が多い。
それは“仕事を奪われる恐怖”から。
しかし本当は、AIを使いこなせる人こそ次の時代の主役になる。」

AIは敵ではなく、創造性を拡張する“共創者”へ。
認知型AIがもたらす“理解する力”をどう活かすか。
そこに、次世代マーケティングの答えがあると感じました。


まとめ:生成AIの次は「認知AI」。行動を理解するマーケティングへ

今回の「AIリテラシーラボ2025」は、
単なるAIトレンド紹介イベントではありませんでした。
“AIが人間を理解する”という新しい時代の幕開けを示すものでした。

Sqreemが描く未来は、「人を理解するAI」×「行動で語るマーケティング」
そして、それはすでに始まりつつあります。

「AIが考え、人が導く。
それが“認知型AI”時代のマーケティングです。」


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